とかく近視眼的で軽薄短小になりがちな現代に、
大自然と人類の精神伝統を訪ね、
重厚長大な悠久の美の創造の、
生涯の長いたゆまぬ歩み。
奈良。
京都。
絶対・純粋・永遠なものへの信仰。
無常と慈悲。
悟りと救いのために絵画の道に修行。
京都に生まれ育ち、少年の日から親しみ愛して来た、純粋で永遠な京都の風景の中に、画因があり、絵画があったことから画家となった。
山紫水明。豊かで冴えた色彩感覚。峻厳と優美。簡潔と洗練の美。
歴史的古典的風土。古より生まれかわり死にかわり、人間がつくって来た精神伝統、文化、歴史の恩恵である。
日本の京都の永遠の自然を観る心が、無常と慈悲であることを少年の時から知った。
以後今日まで、絶対・純粋・永遠なものへの信仰と悟りと救いのために絵画の道に修行することが、一生涯の目的となっている。
永遠の真実と生命と美と愛の信仰。
芸術は其の念願の証し立てをする至誠の至福の
仕事。
一個の実在の生命との新鮮な出会いが全体へ。
一瞬の去来する風景の神秘な美との出会いが永遠へ。
一人の人間との純粋な愛の出会いが全人類へ。
古都。
古代、中世以来の歴史的古典的風土。
近代の文明開化、明治維新以後の東洋と西洋の交流による
芸術文化の創造の場。
東山三十六峰。主峰 比叡山。
天台教学。
歴史的風景の唯中で精神伝統を学ぶ。
摩訶止観。 諸法実相。 一念三千。
最澄。 日蓮。
浅きは易く深きは難しとは釈迦の所判なり、浅きを去って深きに就くは丈夫の心なり。
月月、日日に強り給へ。
中道。根本と中心。
以前に経験した楽しみと苦しみとを擲ち、
また快さと憂いとを擲って、
清らかな平静と安らいとを得て、
犀の角のようにただ独り歩め。