天人合一
天人合一
てんじんごういつ
古代中国(旧シナ)において、天と人間とは本来的に合一性をもつとし、あるいは、人は天に合一すべきものとする思想である。
中国では、超越的存在としての天の概念がきわめて有力で、人の天に対する独自性は発想されることが少なかったから、人の天への合一が、人間の不完全性の克服として考えられた。
儒家の天命説も、道家の、人は作為を捨て天と一致せよとする説も、広義では天人合一の思想といえる。
とくに漢代の儒教では、自然現象と人間世界の現象との間に、相互の照応や因果関係があるとされ、そこに、自然現象の根源としての天と、人間との相関が考えられた。
これは、陰陽説などを吸収しつつ、天人の合一性を自然観・人間観のなかで理論化したものである。
この漢代の天人合一・天人相関の思想では、君主の行為の適否に応じて自然現象に祥端(しようずい)・災異が生じ、ひいては人間の生活に決定的な影響が及ぶとされたが、これは、天と人間一般とを媒介する中軸の位置に君主を置くことにより、君主に超人間的権威を付与するものであった。
内山俊彦(当方で一部書き替えた)