各人が幼少年の心、純粋な故郷の画想(画因)をもちつづけ、すべからく絵画のための人生を。
人間にとって最も幸せなことは、一生涯を貫き通す仕事をもつことである。
絵画は職業ではなく天職である。生涯の無償、無名の行為である。
もろもろの悪をなすなかれ。
もろもろの善を奉行すべし。
自らその意を浄めよ。
これ諸仏の教えなり。
衆生本具の一心。 自性清浄心。
釈迦(佛典)。
心の清い人々は幸なり。その人達は神を見るであろう。
心を入れかえて、幼子のようにならなければ、天国に入ることはできない。
イエス(聖書)。
芸術家は外面を見ず、自己と自然の内面のみを見つめ掘り下げ深める。
一筋の道。多くのものを求めず、一つのものを探究する。
自らに制限を課し、制限の中で努力する。
摩訶止観。観法即画法。
一念三千。一即一切、一切即一。瞬間即永遠、永遠即瞬間。
一隅を照らす。
道心ある人、是れ則ち国宝なり。
最澄(佛典 天台教学)。
狭い門より入れ。
滅びにいたる門は広く、その道も広く、そこから入る者が多い。
命に通じる門は狭く、その道も細い。それを見いだす者は少ない。
イエス(聖書)。
思うことが謙遜でありたい。
言うことが謙遜でありたい。
行うことが謙遜でありたい。
謙遜とは自己否定の沼に咲いた蓮の花である。
贖罪と救済。
自己否定とは人が永遠の霊において純真となる変化(回心)
に他ならない。
釈迦もイエスも二十代〜三十代の体力、生命力、霊力、精神力が最も強烈で充実した年令の時に最高の仕事をした。
若々しい創造力がある全身全霊の行為であった。
生命と霊と力の根源は自然の存在であった。
自然の存在は言葉ではない。存在自体である。言葉で表現出来ないものだ。
沈黙(無言)の中の行為であるから、言葉を文字にして書くことをしなかった。
釈迦、孔子、老子、ソクラテス、イエスは、言葉にならないものを、弟子達に伝授した。
弟子たる者は、沈黙し、瞑想し、佛・法・僧の三宝に帰依し、戒・定・慧の修行に努め励め。
釈迦
弟子たる者は、沈黙し、瞑想し、神を愛し、隣人を愛し、父(神)と子(神人)と聖霊の名において祈り修道せよ。
イエス
シッダールタがブツダになったのは三十五歳といわれている。
イエス・キリストは三十三歳で十字架にかけられて亡くなっている。
モーツァルトは三十代に最高の作品を作り三十五歳で没している。
ゴッホは全てを燃焼して三十六歳で世を去っている。
短命の純粋な天才達に傾倒し、生涯尊崇し敬愛し続ける。
たとい七歳の童子なりとも我れより勝ならば我れ彼れに問うべし。たとへ百歳の翁なりとも我れより劣ならば我れ彼れに教うべし
道元