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原始人の力 釈迦牟尼の教訓

 芸術家に制作意欲を起させるものは、自然(じねん)の風景と人間の、尊厳な裸形の存在に、直接に対面し接触した時の、感動と驚嘆と畏敬と、礼讃と愛の念(こころ)であります。
 大切なのは、現実の野外の大地に立って、自然の存在を凝視し、精神を集中して、全身で全力で制作する勇気と情熱と、意志と忍耐と、体力と智力です。

 「語るな、独り黙って自分の眼で、自然の真実の存在自体を深く見て、不断に仕事をする男の強い意志を持て」これが芸術家の自分への、釈迦牟尼の教訓であります。
 佛道、佛教の創始者の釈迦牟尼のムーニは、沈黙の意味である、釈迦は独り黙って自己の眼で、自然萬象を深く徹底して見た人です。

 原始佛教の経典のスッタニパータやダンマパダを見ると、そこには原始人の強烈な生命の力がみなぎっています。野外の自然の諸々の恐怖や苦難に耐えた、男の強い意志と精神の力が在ります。そうして、人間としての最高の目的と、理想が在ります。

 「寒さと暑さと、飢えと渇えと、風と太陽の熱と、虻と蛇と、――これらすべてのものにうち勝って、犀の角のようにただ独り歩め。」

 「世の中の遊戯や娯楽や快楽に、満足を感ずることなく、心ひかれることなく、身の装飾を離れて、真実を語り、犀の角のようにただ独り歩め。」

 「最高の目的を達成するために努力策励し、こころが怯むことなく、行いに怠ることなく、堅固な活動をなし、体力と智力とを具え、犀の角のようにただ独り歩め。」

        釈迦牟尼 スッタニパータ(最古の経典)

 青年シッダールタは、真理の探究のために王位も財産も妻子も…全てを捨てて出家したのです。そうして裸形の乞食僧として長い歳月野外で苦行した後に、大樹の下で大地に座し冥想の精神集中をして大悟しました。
 大自然・宇宙の根本真実と生命と自己が一如になりました。

 私は釈迦牟尼を模範として、偉大な永遠な自然に立ち向かい、制作に全力をつくしています。

 
 
 
 
 
  

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